申すまでもなく、空手道は、日本古来の武道であります。試合における競技方法は、長い間、寸止め方式を採ってきました。
「寸止め」の空手は、優れた技を競い合っても、競技ルールに当てないという致命的な制約があり、観客側の立場でみると、勝負判定について心底から理解と納得ができないのが普通ではないでしょうか。
又、競技者にとっては、本当に「当てる」場合と「当てることを仮定する」場合の差に納得がいかなく、万一、ケガが発生した場合、遺恨が残らざるをえないのが偽らざる感情と思われます。
「からて」がスポーツ競技としての方向を目指すかぎり、止める空手から当てる空手に移行せざるをえません。それゆえ空手道も必然的に改革が必要となり、「硬式空手」が誕生しました。硬式空手の利点を申し述べますと、競技者の安全性に配慮し、頭部と胴に防具を付け、傷害を未然に防ぎ、また防具部分へ正確に当てることにより、勝負の判定を一層明確化させることを可能にしました。
一方、硬式空手界はオリンピックの正式参加を目指していますが、IOC(国際オリンピック委員会)も条件として、安全性と勝敗の明確さが最も重要であることを指摘しております。
安全防具を使用した強く正しく、極めて当てる=ハードコンタクト=寸当て方式は、今後の空手界の進路にとって非常に重要な意味を持っており、またその普及を大いに期待しています。
今後、さらに防具の改良を図り、安全面の完成度を高くし、合わせて審判規定を改正の上、審判の技術レベルを向上させ、選手、及び観客が共に勝負判定に納得、満足していただけることにより、広く「硬式空手」愛好者の参加を希望するものであります。あえて申すならば、私は寸当て方式(硬式空手)の道に、さらに前進していく所存であります。